子どもに関わる仕事として知られる「幼稚園教諭」と「保育士」。どちらも子どもと過ごすお仕事ですが、その役割や働く場所、必要な資格には違いがあります。
本記事では、これから保育・教育の道を目指す方や、お子さんの園選びに悩む保護者の方に向けて、幼稚園教諭と保育士の違いをわかりやすく解説します。
1. 幼稚園教諭と保育士の基本的な違いとは?
どちらも「子どもと関わる仕事」だけど役割が違う
幼稚園教諭と保育士、どちらも乳幼児期の子どもと接する仕事であり、遊びや生活、学びの場を提供するという点では共通しています。しかし、大きな違いは「目的」にあります。
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幼稚園教諭は「教育」を通して子どもの成長を促す専門家。
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保育士は「保育」を通して子どもの生活を支える専門家。
つまり、幼稚園教諭は“先生”として、保育士は“養護者”の役割に近い存在といえます。
制度上の分類|幼稚園=文部科学省、保育園=厚生労働省
制度的にも2つの職種は異なる管轄に属しています。
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幼稚園:文部科学省が所管する「学校」の一種。
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保育園:厚生労働省が所管する「児童福祉施設」。
この違いが、運営基準やカリキュラム、職員配置などに影響を与えています。
「教育」と「保育」の違いってなに?
「教育」は、意図的に子どもの発達を促す活動(例:文字・数、集団活動)、「保育」は、生活全般を支える活動(例:食事・排泄・着替えなど)を指します。
幼稚園ではカリキュラムに沿った活動が重視され、保育園では一人ひとりの生活リズムや家庭の事情に寄り添った保育が重視される傾向にあります。
2. 資格・免許の違いをやさしく解説

幼稚園教諭になるには?必要な資格と取得方法
幼稚園教諭になるには、「幼稚園教諭免許状(1種・2種・専修)」が必要です。取得ルートは以下の通りです:
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短大卒(2年制):2種免許
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大学卒(4年制):1種免許
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大学院卒:専修免許
教育学部や幼児教育課程のある学科で必要な単位を修得し、免許申請を行います。教員採用試験を経て公立幼稚園で勤務する場合もあります。
保育士になるには?国家資格としての保育士資格
保育士は、国家資格です。「保育士資格」は以下のルートで取得可能です:
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指定保育士養成校(短大・専門・大学)を卒業し、卒業と同時に取得
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保育士試験に合格して取得(実務経験や学歴の条件あり)
資格取得後は、保育園だけでなく、児童福祉施設や乳児院、障がい児施設などでも活躍できます。
ダブルライセンス(両方持っている人)もいる?
実は、幼稚園教諭と保育士の両方の資格を持っている人も多くいます。特に「こども園(認定こども園)」では、教育と保育の両方のスキルが求められるため、ダブルライセンスが活かされます。
現在では、一部の大学・短大では両資格の同時取得が可能なカリキュラムも増えており、将来の選択肢を広げる意味でもおすすめです。
3. 実際の仕事内容や勤務先の違いとは?

幼稚園教諭は「授業と行事中心」、保育士は「生活サポート中心」
【幼稚園教諭】
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授業(お絵かき、音楽、体操など)
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行事の準備(運動会、発表会など)
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子ども同士の社会性を育てる支援
【保育士】
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食事・排泄・着替えの援助
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お昼寝の管理
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個別の発達支援や保護者対応
幼稚園教諭は“教育の専門家”として集団活動や学習的な内容を重視し、保育士は“生活の支援者”として日常生活を丁寧に見守る役割を果たします。
働く場所の違い(私立・公立/園の形態など)
職種 | 主な勤務先 | 形態 |
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幼稚園教諭 | 私立・公立幼稚園、認定こども園(教育部分) | 学校法人など |
保育士 | 保育園、認定こども園(保育部分)、児童福祉施設 | 社会福祉法人・自治体など |
私立園は独自の教育方針が色濃く出る傾向にあり、公立園は自治体の運営に基づく安定性があります。
1日のスケジュールの違いを比較してみよう
【幼稚園教諭の1日(例)】
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8:30 登園・自由遊び
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10:00 設定保育(制作、体育など)
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12:00 昼食
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13:30 降園準備
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14:00 降園・事務作業
【保育士の1日(例)】
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7:00 開園・順次登園
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9:30 設定保育・戸外遊び
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11:30 昼食・午睡準備
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13:00 お昼寝
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15:00 おやつ・自由遊び
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18:30 延長保育・閉園
保育士は早朝から夕方以降まで長時間勤務となることが多く、保護者の就労を支える役割が強く求められます。
4. 保護者・進路選択中の人向けQ&A

どちらの方が大変?
どちらが「大変」というより、それぞれ大変さの種類が違うと言えます。
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幼稚園教諭:行事準備や教育内容の充実、保護者対応に追われる日も。
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保育士:子どもの生活全般に寄り添うため、体力的にハードな面も。
どちらも子どもの安全・育ちを担う責任は重く、やりがいも深い仕事です。
給与や勤務時間に違いはあるの?
一般的には、保育士の方が勤務時間が長く、給与がやや低めとされる傾向があります。ただし、自治体や園によって差はあり、近年では処遇改善も進められています。
項目 | 幼稚園教諭 | 保育士 |
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勤務時間 | 日中(主に8時〜16時) | 早朝〜夜間(シフト制) |
平均年収 | 約330〜400万円 | 約310〜380万円 |
休日 | 土日祝が基本 | 土曜勤務ありの園も多い |
※2024年現在の一般的な傾向です。地域・園によって異なります。
子どもに合うのは幼稚園?保育園?
お子さんの性格や家庭のライフスタイルによって最適な園は異なります。
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幼稚園:集団生活を通じて学びを深めたい、行事を楽しみたい子に◎
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保育園:家庭の就労状況で長時間保育が必要、生活習慣を身につけたい子に◎
最近では両方の良さを兼ね備えた「認定こども園」も増えており、選択肢が広がっています。
まとめ|幼稚園教諭も保育士も“子どもの育ち”を支える大切な存在!
幼稚園教諭と保育士は、制度や役割、資格、勤務形態に違いがあるものの、共通して「子どもの成長を見守る」という尊い仕事です。
進路を考えている学生さんや、子どもを預ける保護者の方も、違いを理解することでより納得のいく選択ができるでしょう。
どちらの職業も、未来を担う子どもたちの笑顔と成長を支える、誇りあるお仕事です。自分に合った形で「子どもと関わる」第一歩を踏み出してみてくださいね。