夏の保育に欠かせないのが「水遊び」。水の冷たさや流れ、音や光の反射を感じるこの遊びは、子どもたちにとって最高の感覚体験です。さらに、手作りの水遊びおもちゃを使えば、準備の段階からワクワクが広がり、保育士と子どもたちの関わりもぐっと深まります。今回は、「手作り 水遊びおもちゃ」をキーワードに、保育園で手軽に取り入れられる具体的なアイデアと注意点、年齢に応じた遊び方まで、現場で役立つ情報をたっぷりご紹介します。
なぜ手作り水遊びおもちゃが良いの?

コストを抑えて楽しめる工夫ができる
市販のおもちゃは安全性やデザイン性が高い反面、価格が高く数をそろえるのが難しい場合もあります。手作りなら、身近にある素材を活用して大量に準備することも可能です。たとえば、ペットボトル、牛乳パック、洗剤ボトル、スポンジ、ビニール袋など、再利用できるものばかり。予算を抑えつつ、環境にも優しい取り組みになります。
子どもたちの創造力と参加意欲が高まる
おもちゃを作る工程に子どもたちが関わることで、「自分で作った!」という達成感が生まれます。材料を選び、色を塗ったり絵を描いたり、装飾を加えることで一つひとつがオリジナル。遊ぶ前から子どもたちのワクワクが始まり、完成後の遊びもより充実したものになります。
保育のテーマや発達段階に合わせて調整可能
たとえば「色水あそび」と組み合わせて色の変化を学んだり、「水の流れ」をテーマに坂道や水路づくりを行ったりと、さまざまな保育テーマとリンクさせることができます。また、発達段階に応じて遊びの難易度や素材の感触を調整できるのも、手作りならではのメリットです。
年齢別・おすすめの手作り水遊びおもちゃ

1・2歳児:シンプルで安全な素材を使った感触中心の遊び
この時期の子どもたちは、触る・握る・振るといった動作が中心。安全で口に入れても問題のない素材を使いましょう。
- スポンジボール:スポンジを細長く切って輪ゴムで束ねるだけ。投げたり、水に浸したり、握る感触を楽しめます。
- ペットボトルシャワー:ペットボトルの蓋に穴を開けて水を入れると、簡単なシャワーおもちゃに。ジョウロ感覚で使えます。
- 氷遊び:製氷皿で色水を凍らせた「カラフル氷」で遊ぶと、冷たさと色の変化を楽しめます。
→誤飲を防ぐため、大きめサイズのパーツを選び、見守りを徹底しましょう。
3歳児:手先が器用になり、動きのある遊びが広がる
3歳頃になると、手先が器用になり、簡単な仕組みのあるおもちゃにも挑戦できます。
- 水車(簡易タイプ):ストローと紙コップを組み合わせて、ペットボトルに取り付けると簡単な水車が完成。水の流れで回る様子を観察できます。
- 牛乳パックの舟:牛乳パックを舟型にカットし、クレヨンやシールで装飾。水に浮かべてレース遊びをしても盛り上がります。
- スポイトで色水遊び:スポイトを使って色水を移し替えることで、指先の力加減や集中力を養えます。
→遊びながら「どうして回るの?」「浮かぶって何?」といった自然な問いも生まれ、学びにつながります。
4・5歳児:創作・構造理解・ごっこ遊びが発展
年長児になると、少し複雑な構造のおもちゃや、友達と協力して遊ぶルール性のある遊びも楽しめます。
- 水路づくり:切ったペットボトルやホース、竹筒などで、水の通り道を自由に作成。水の流れや傾き、勢いを工夫して遊べます。
- 的あてゲーム:空き缶や紙皿に点数を書いて並べ、水鉄砲やスポンジ弾で的を狙うゲームに。グループ対抗戦などにして盛り上がります。
- 色水実験コーナー:赤・青・黄などの色水と透明なコップ、スポイトを用意。混色を楽しんだり、色の変化を観察することで科学的な感性も育てます。
→活動の幅が広がる一方で、使い方のルールや順番を守る練習にもなります。
手作り水遊びおもちゃを安全に楽しむために

使用素材の選定と衛生管理は最重要
水遊びでは素材が濡れるため、劣化しやすく破損やカビの原因にもなります。使用する素材は耐水性があるものを選び、使用後は水洗い・乾燥を徹底しましょう。誤飲防止のため、小さな部品や壊れやすい素材は避けましょう。
- ビニールテープの端処理を丁寧に
- ペットボトルの切り口はテープで保護
- 毎回遊ぶ前に破損・劣化チェック
遊び方のルールを明確に
水のかけ合いが白熱しすぎるとトラブルになりがちです。「顔にはかけない」「道具は順番に使う」など、年齢に合わせて分かりやすくルールを設定し、活動の前にしっかり伝えましょう。
子どもが自由に遊べる“余白”を大切に
ルールは大切ですが、自由に遊べる空間も確保することで、子どもたちの主体的な遊びが生まれます。「何に使おうか?」「どうやって遊ぼう?」という問いが育ちのきっかけに。大人は“用意しすぎない”工夫も必要です。
まとめ|手作りだからこそ広がる“遊び”と“育ち”

手作り水遊びおもちゃは、ただ水で遊ぶだけでなく、「作る楽しさ」「工夫するおもしろさ」「友達と関わる喜び」など、さまざまな育ちにつながる貴重な体験です。夏ならではの活動として、ぜひ園での保育に取り入れてみてください。
暑さの厳しい日でも、水のひんやりとした感触は子どもたちの気持ちをリフレッシュさせてくれます。そして、保育士のひらめきや創意工夫が、子どもたちの記憶に残る“特別な夏の日”を作り出します。
水遊びの季節にこそ、手作りおもちゃで広がる無限のあそび。笑顔あふれる保育の時間を、一つひとつ大切に紡いでいきましょう。