『共働き子育てしやすい街ランキング』は、日本経済新聞社と日系xwomanが2015年から毎年実施しているランキングです。
「自治体の子育て支援制度に関する調査」を行い、全国160自治体からの回答を元にしています。
子育てしやすい街ランキングって??
調査で重点を置かれているのは、保育所や学童保育といった子育て関連施設の充実度や、子育てに関するお金やサービスの補助の内容。
施設や補助の充実が、子育てのしやすさにどうつながっていくのでしょうか?
待機児童の数が少ない
保育所や学童保育といった子育て関連施設が多いということは、待機児童数の少なさにつながります。共働き家庭が増えている今、子どもを預ける先があるかどうかは大きな心配ごとです。
仕事に復帰したくても、子どもを預けられる先がなければ復帰することができません。
働くことができなければ、そもそも子どもを育てることも難しくなります。仕事と子育てが両立できる見通しが立たないため、子どもがほしくても諦めるしかない、という夫婦も。
待機児童が少なく、子育て関連施設が充実している自治体であれば、仕事復帰の目途も立ちやすいため安心して出産にのぞめるのではないでしょうか。
行政の子育て支援に関する取り組みが多い
子育て家庭を支えるために、様々な取り組みが行われるようになってきました。
子育てに関わる補助金であったり、共働き家庭に必要なサービスであったりと、自治体によって内容は多岐に渡ります。
実際に役に立った子育て支援として次のような内容が挙げられました。
- 子どもの医療費補助
- 育児用品の割引券やクーポン
- 家事代行や育児ヘルパーの派遣
子どもが小さいうちは病院に行く機会が多いので、医療費の負担が少ないと助かりますよね。おむつなど、子育てをする上で欠かせないものの費用についても同様です。
また、共働き家庭を中心に、大変な時に家事や育児を手伝ってくれる人の存在は心強いもの。
核家族化が進むことで実家が遠い家庭も増えていますから、ヘルパーやベビーシッターを利用しやすい環境は、子育てのしやすさにつながるでしょう。
日本経済新聞社発表!「共働き子育てしやすい街ランキング2021」結果
2015年から2020年までの調査では、子育て支援施設の充実や子育てに関する補助に重点が置かれていました。
2021年の調査では調査項目とランキング基準が一部変更されましたが、その背景には、リモートワークの普及などからくるライフスタイルの大きな変化があります。
ライフスタイルが変われば、住みやすさ、子育てのしやすさも当然変わってくるでしょう。
そのため、従来の子育て施設や補助の充実に加えて、保育の質に関する取り組みを重視して評価項目がされたのです。
2021年のアンケート結果は次のような結果に。
1位 松戸市(千葉県)
2位 宇都宮市(栃木県)
3位 浦安市(千葉県)
4位 富山市(富山県)
5位 厚木市(神奈川県)
上位に輝いた自治体はどんな点が評価されたのでしょうか。
1位:松戸市(千葉県)
1位の松戸市は、2020年から連続で1位を獲得しました。
評価のポイントとして、次のような点が挙げられています。
- 保育所の園庭保有率が80%
- 保育の質を担保するためのガイドラインや研修の整備
- 保育士の待遇や労働環境の改善への取り組み
施設の充実といったハード面だけでなく、保育の質といったソフト面にも目が向けられ、今後も改善を続ける方針が取られています。
松戸市で行われている子育て支援には以下のようなものがあります。
- おやこDE広場・子育て支援センター
- 子育て支援施設の充実
- 三世代同居等住宅取得支援
子育て支援施設が充実していることで、松戸市は待機児童が6年連続でゼロ。産休・育休後に職場復帰したいと考えている方にとって、安心感のある数字ですよね。
2位:宇都宮市(栃木県)
2位の宇都宮市は、前年の16位から大きく順位を上げています。評価されたポイントは以下のような点です。
- 保育所の園庭保有率が95%
- 保育の質を担保するためのガイドラインや研修の整備
- 高校生までの医療費を独自に無償化
- ファミリーサポートセンターや病児保育の利用料への助成
- 第3子以降は保育料、預かり保育料などのサービス利用料を独自に無償化
宇都宮市で行われている子育て支援には以下のようなものがあります。
- 子育て支援施設「ゆうあいひろば」
- こども医療費助成制度
宇都宮市のこども医療費助成制度は、高校3年生までの子どもが対象です。健康保険が適用される診療を受けた際、医療費の自己負担分を市が助成する制度。
基本的に窓口での支払いが発生しないため、安心して子どもを病院に連れて行くことができます。
3位:浦安市(千葉県)
3位の浦安市は、20年のランキングでは上位50位内に名前が出てこなかった自治体です。浦安市で行われている子育て支援には以下のようなものがあります。
- うらやす子育て支援パスポート
- 医療費助成制度
子育て支援パスポートを利用することで、市内の協賛店でサービスを受けることが可能です。衣料品店、飲食店、ガソリンスタンドといった多様なジャンルの企業が協賛しているため、サービス内容も多岐に渡ります。
医療費助成は、中学生まで1回200円で診察を受けられるというもの。
入院費も1日200円なので、いざという時に心強い支援と言えそうです。
4位:富山市(富山県)
4位の富山市は、前年の46位から大幅に順位を上げました。
富山市で行われている子育て支援には以下のようなものがあります。
- ひとり親家庭への助成
- とやまっ子すくすく電気
- とやまっ子子育て応援券
富山市では、ひとり親家庭等家賃助成事業、ひとり親家庭病児保育利用料助成など、ひとり親家庭に対して手厚いサポートを行っています。
ひとり親家庭が増えている現代において、こうしたサポートがあると心強いですね。
5位:厚木市(神奈川県)
5位の厚木市は20年の結果では13位。
一時的な取り組みではなく、継続的な取り組みが行われている結果と言えそうです。
厚木市で行われている子育て支援には以下のようなものがあります。
- 幼稚園送迎ステーション
- こども医療費助成制度
- 紙おむつなどの支給
朝夕の幼稚園の送迎の中継場所として、共働き家庭を支援するサービスがある他、医療費助成制度や紙おむつの支給など、家計を支えるためのサービスも。
預かり保育サービスも充実しています。
地方移住も選択肢に?!地方の子育て支援にはどのようなものがある?
リモートワークの普及が進んだとことで、住む場所を自由に選べるようになったという方もいます。通勤する必要がなくなったため、地方への移住を考えている方も。
地方自治体の中には移住支援を行っているところもあります。より子育てしやすい環境を求めるのであれば、地方移住を選択肢として考えることもできるでしょう。
地方自治体が行っている子育て支援には、どのようなものがあるのでしょうか。
公立学校の給食費
子育て支援の一環として、公立学校の給食費を助成、もしくは無償化している自治体があります。大和市(神奈川県)では、2014年から第3子以降の学校給食費を補助する取り組みを行っています。
また、2022年8月には市川市(千葉県)が小中学校の給食を全額無償にすると発表。猪名川町(兵庫県)では、幼児教育・保育にかかる給食費が完全無償となっています。
西宮市(兵庫県)では期間を決めて無償化することを決めるなど、自治体によって取り組み方は様々です。
移住にかかる費用
移住先の自治体にとって住民が増えるのは嬉しいことです。自治体ごとに様々な移住支援制度を行っているので、うまく利用すると移住費用を抑えることができます。
秋田市(秋田県)では、一定要件を満たせば移住に関わる費用を補助してもらえます。
住宅の新築・購入といった転居に関わる費用、移動手段の確保に関する費用、生活必需品の購入に関する費用と、補助の対象が幅広く、18歳未満の子どもがいる家庭であれば申請可能です。
自治体ではなく県の取り組みになりますが、茨城県でも移住支援が行われています。
東京23区に住んでいた家庭を対象に、世帯ごとに100万円が支給される他、18歳未満の子ども1人につき30万円が支給される制度です。
医療費
子どもの医療費助成制度を取り入れている自治体はいくつもあります。
ただ、自治体によって対象や金額が異なるため、自分が住んでいる自治体の制度がどうなっているか一度確認してみるといいでしょう。
大月市(山梨県)では、満18歳の子どもを対象に、保険診療による自己負担金を助成する制度を取り入れています。
他にも酒田市(山形県)、河北町(山形県)、善通寺市(香川県)など、医療費補助制度は複数の自治体で行われている制度です。
各自治体のホームページで助成対象者や助成範囲を確認できるので、詳しく内容を確認したい方はぜひチェックしてみてくださいね。
まとめ:近くや住んでみたい地方の自治体を調査してみよう!
少子化は国全体で取り組んでいく必要のある課題です。
少しでも子育てしやすい環境を整えようと様々な支援が行われているのですが、支援の対象であっても肝心の支援内容を知らないという方も。
支援制度をうまく利用することができれば、子育てがしやすくなり、生活だけでなく気持ちにも余裕が生まれます。
ぜひお住まいの自治体や、住んでみたいと考えている自治体の支援を調べてみてください。「こんな支援あったの!?」と驚く内容があれば、友だちや家族に教えてあげてもいいですね。