保育園で運動会を実施するねらい
保育園で運動会を実施する際は、まずは運動会のねらいを考えましょう。あらかじめねらいを考えて保育士全員で共有しておくことで、その後の準備について計画を立てやすくなりますし、統一感のある内容になります。保育士がねらいを共有しておらず、バラバラな方向性で種目を考えたり、衣装を考えたりしていては、後から修正するのも一苦労。せっかく時間をかけて計画したのに、はじめからやり直しになってしまうこともあります。
スムーズな準備のためにも、まず運動会全体のねらいを考え、共有することが大切です。
乳児のねらい
乳児クラスの子どもたちは、できることの差も大きく、その日の気分や体調によって左右される部分が大きいですよね。上手に何かをやらなくては!と考えるよりも、乳児クラスの子どもたちが楽しんでいる姿を保護者に見てもらう、といったねらいを設定するのがおすすめです。
保護者も、乳児クラスの子どもたちが楽しそうにしている姿を期待しているはず。背伸びをする必要はないので、乳児クラスの子どもたちの負担にならないねらいを考えましょう。
幼児のねらい
幼児クラスになると、身体能力も上がってくるので出来ることが増えてきます。保育雑誌を見るといろいろな競技が紹介されているので、ついあれもこれもやってみたい、と考えてしまいがちです。
しかし、運動会の主役は子どもたち。
子どもたちが運動会を楽しめるかどうかを一番に考えましょう。
運動会のねらいも、あまり簡単なものにすると物足りないかもしれませんが、大きな行事だからと張り切りすぎても子どもの負担になります。
運動が得意な子だけでなく、運動があまり得意ではないという子も楽しめるよう配慮して考えてみてください。
運動会は大きな行事ですから、準備することがたくさんあります。落ちなく準備を進めるには、しっかり準備リストを作成することと、準備リストを保育士全員で共有していることが大切です。保育士が全員で共有できていれば、準備がどこまで進んでいるか確認しやすく、計画より遅れているところがあればサポートし合うこともできますよね。
また、保育士全員でチェックすればミスも減り、安心して準備を進めることができます。最初に一手間かけるだけで準備のしやすさが変わってくるので、準備リストの作成と共有がおすすめです。
①プログラム順を考える:年齢特性を考慮する
プログラム順を考える際には、子どもたちの年齢を考慮しましょう。乳児クラスの子どもたちは体力がなく、疲れやすいので早めの順番にする。同じクラスの競技が近いと準備が間に合わないので、余裕をもったプログラム順にする、など。
子どもたちの年齢に配慮することで、全体の進行もしやすくなりますし、子どもたちへの負担も少なくなります。乳児クラスの子どもたちは最初から最後まで参加するのが難しい、と感じたら、乳児クラスだけ別行動にするのもアリですよ。
②競技を考える:年齢別の身体能力に合わせする
運動会は子どもたちの成長を保護者に見てもらう絶好の機会なので、保育士としては、競技内容にこだわりたいところではないでしょうか。保育園によっては、毎年行う恒例の競技があるかもしれませんね。幼児クラスのリレーのように、保護者が毎年楽しみにしている競技がある、という保育園もあるでしょう。
保護者が期待していることを知っていれば、保育士としてはその競技を入れなくては、と考えるのも無理はありませんが、子どもの成長に合っているかも考えてみてください。同じ年齢の子どもでも、全く同じ成長をするわけではありません。毎年恒例の競技だとしても、今年の子どもたちにとっては難しいなと感じたら、そのまま行うのは避けた方がいいでしょう。成長に合っていない競技を行うと、子どもたちにとっては難易度の高い競技になってしまって楽しめません。
保育士にとっても、子どもに無理をさせることになるので楽しいものではないでしょう。子どもの身体能力に合わせた競技を考えることは、子どもにとっても保育士にとっても大切なポイントです。
③選曲を考える:運動会で使う曲は大事!
運動会といえば、わくわくするような曲や気持ちが盛り上がるような曲が必須ですよね。何の曲を使うかで競技の盛り上がりも変わってくるほどですから、曲選びは大切です。しかし、子どもたちが好きなアニメの曲だから、という理由で曲を選ぶのは避けた方がいいかもしれません。
好きな曲だからこそ、子どもたちの気が散ってしまった、落ち着いて座っていられなくなった、ということもあり得ます。保育園に通う年齢の子どもたちはちょっとしたことに影響を受けやすいので、日頃の様子を見ながら曲を選んでみましょう。
④場所の確保:小学校や公民館などの利用・予約交渉
運動会の日程が決まったら、早い段階で場所を確保しましょう。保育園に十分な園庭があれば問題ありませんが、園庭が狭い、そもそも園庭がない保育園は、広い場所が借りられなければ運動会ができません。また、近隣に保育園・幼稚園がいくつもあると、同じ時期に運動会を行う可能性があるため、希望の日程で場所が確保できないという可能性も出てきます。
日程が決まったら、すぐに会場にしたい小学校や公民館などに連絡し、運動会を行いたいことや日時を伝えて貸してもらえるかどうか確認します。可能であれば、そのまま予約までしておくのが確実です。
⑤制作:衣装や飾り付けなどの作成
運動会の準備で忘れてはいけないのが、衣装や飾り付けの作成です。保育士の日常業務に追加されるので、できるだけ早めに材料を用意して制作に取りかかるようにしましょう。それほど難しいものを作るわけではないから、と後回しにしていると、運動会直前で時間がなくなって慌ただしくなることがあります。
保育士はただでさえ運動会の準備で疲れるので、早めに始めて、少しでも自分たちにかかる負担を少なくしましょう。
⑥買い出し:景品などの買い出し
運動会当日までに必要なものは、いつ、誰が買い出しに行くのか、計画しておくと安心です。運動会の流れや競技が決まってくると、自然と必要なものも分かってくるので、リストにして保育士間で共有しておきましょう。
たくさんの目でリストをチェックすれば、買い忘れも防げます。
運動会前後には保護者に連絡をしっかりとしよう!
運動会について保育士が忘れてはいけないことは、保護者への連絡です。保育士は計画から携わっているので、保護者も知っている気がして細かな部分の連絡を忘れてしまいがち。また、保育園の保護者は仕事をしている人が多く、日常的に忙しい場合が多いですよね。
1回の連絡だけでは記憶から抜け落ちてしまう可能性があるので、数回に渡って連絡すると、大切なことがしっかり伝わりますよ。
連絡①:服装や持ち物、お弁当の連絡をする
日程や会場だけでなく、運動会当日の服装や持ち物、お弁当の有無についても連絡しましょう。保育園の保護者は、初めて子育てをしている人も少なくありません。運動会と言えばどんな服装をすればいいか分かるだろう、と思い込まず、保育士からすると細かすぎるくらいしっかり連絡してあげてください。
「動きやすい服装」という、ふんわりした表現だと、保護者によって解釈が分かれることがあります。「柔らかい素材のズボン」「装飾がないもの」など、できるだけ具体的にお知らせしましょう。持ち物に関しても、言わなくても分かるだろう、とは思わずに細かくお知らせを出すのがおすすめです。
連絡②:運動会後は保護者からの感想など報告する
運動会の連絡は、運動会の前だけでなく終わった後も大切です。運動会が終わった後、保育士に直接感想を伝えてくれる保護者もいれば、後からノートなどで伝えてくれる保護者もいるでしょう。良い感想もあれば、改善を求める感想もあるかもしれません。
そうした感想を園だよりなどで報告して、保育園からのコメントも添えると、保護者は自分たちの声をしっかり受け止めてくれる保育園だと信頼してくれます。保護者からの信頼は、保育園にとってなくてはならないもの。運動会への協力に対する感謝と共に、保護者からの声も報告しましょう。
まとめ
運動会は大きな行事ですから、保育士もいろいろと準備することが出てきます。早め早めに計画を立てて、保育士全員でサポートし合える環境を作ることで、保育士の負担を軽くすることができるでしょう。子どもと保護者が笑顔で「楽しかった!」と言ってくれる運動会を目指して、準備を進めてくださいね。