『保育士の給料が安い』ということは、世間のニュースでも近年大きな問題になっています。
それに伴い、保育士不足も深刻な問題になっています。低賃金で重労働ですが、責任の重さを考えると、保育士という職から離れてしまう人が多いのです。政府の政策として、2022年2月から3%(約9000円)アップしましたが、園によって賃金として渡している園と渡していない園があるのも現実です。他にも様々な政策や自治体ごとの取り組みはあるのですが、まだまだ『低賃金』のイメージが払しょくできません。そんな保育士ですが、本当に他業種と比べて給料は安いのでしょうか?今回は、世の中と比較して解説していきます!
保育士の給料の平均は?
では、まず保育士の給料の平均を見ていきましょう。全国的な保育士の平均年収は約320万円と言われていますがこれはあくまでキャリアを積んだ場合です。
20代で年収約230万~260万円。30代になると、男性で280万~300万円。女性で250万から260万円と言われています。
正職員はボーナスがある園がほとんどかと思いますが、正職員と同じ仕事内容で働いていても雇用形態が臨時職員の場合だとボーナスの額が下がる場合があります。
そして、地域や園によって給料に大きな差があることも事実です。
東京都の保育士の平均給与は414万円(35歳~39歳)
<参考>
https://www.e-hoikushi.net/kyujin/tokyo/guide/salary/
東京の保育士の平均給与は414万円と言われています。これは、全国的にかなり高い水準です。
東京都は、保育士の定着促進をはかるため自治体独自の保育士向けの支援制度や補助制度を設けています。基本給は他の自治体と同じ額でも、家賃補助や処遇改善手当など、もらえる手当てが多いことで給料が上がっているという形です。
地域によって手当の差が大きい
先述しましたが、地域や園によって手当の差はとても大きいです。同じ自治体の中でも、『処遇改善手当』が出ている園と出ていない園があるというのはよくあることです。保育士の手当てとしては『リーダー手当』や『担任手当』『時間外手当』などありますが、額が決まっていないので園によって差が出るのです。
また、自治体独自で保育士の処遇を改善するために給料改善政策に取り組んでいる市もあります。
大規模首都圏では、家賃補助(保育士宿舎借り上げ制度)もついてくる
保育士の採用は、各都道府県で急務になっている関係で、都道府県や自治体独自で家賃補助(保育士宿舎借り上げ制度)を提供しているところが多いです。
・神奈川県:72,000円~
・埼玉県:61,000円~
・千葉県:40,000円~
・大阪府:49,000円~
これはあくまでも一例で、多くの都道府県や自治体で、実質的に家賃を補助するせいでもついてきており、必然的に給与の額面より多い給与となります。
日本人の平均年収ってどのくらいなのか
今まで保育士の平均年収についてお伝えしてきましたが、では、日本人の平均年収はどのくらいのか気になりませんか?日本人の平均年収と保育士の平均年収を比較してみましょう!
日本人の平均年収は433万円(35歳~39歳)
日本人の平均年収は433万円と言われています。東京都の保育士の年収に比べて少し高いくらいですね。このように比べてみると、あまり差が無いように感じます。保育士以外にも様々な職種がありますが、次は保育士が転職先にすることが多い事務職と比べてみましょう。
事務職になると337万円(35歳~39歳)
<参考>
https://shukatsu-mirai.com/archives/67194
実は、事務職の平均年収は337万円!東京都の保育士の平均年収よりもかなり低いことに驚きですね。事務職は、保育士の様に『担任手当』や『処遇改善手当』はありません。残業代は出るところは多いかと思いますが、月給は基本給がベースになります。
家賃補助(保育士宿舎借り上げ制度)も貰うと日本人の平均年収より高い
大都市圏では、家賃補助(保育士宿舎借り上げ制度)がついているところも多いため、家賃補助(保育士宿舎借り上げ制度)を加算すると保育士の給料は、日本人の平均年収よりも高いというデータが出ました。「低賃金・低待遇」が問題となっているのに、意外ですよね!まだまだ地方格差があるとはいえ、処遇が改善されてきているのに、保育士を離職する人が後を絶たないのはなぜでしょうか?
保育士の給料が安いと感じるのは別の理由では??
「保育士辞めたい」「ブラック保育園」「保育士一斉退職」など、暗いニュースばかりが目立つ保育士業界。『仕事量が給料に見合っていない』という話しをよく耳にします。現場で働いている保育士に皆さんも、思うところはあるのではないでしょうか?
責任が重い
保育士は子どもの命を預かる仕事です。そして、子どもの成長を見守り、手助けをしたり、時には母代わりになったり、クラス運営を考えたり、保護者対応や保護者のサポートをしたり・・・更に保護者へ電話連絡や週案月案作成など「見えない仕事」が多くあります。
行事準備や保育会議、保健所や学校との連携など、『子どもの人生に携わる仕事』なので、責任の重さは計り知れません。『子どものために』と没頭すると更に責任の重さを感じることも・・・。本当にやりがいのある尊い仕事ですが、責任の重さはのしかかってきます。
休憩が取れない
あってないような休憩時間。昼食は子どもたちと一緒に取りますし、ゆっくり食べている時間はありません。
「お昼寝の時間は先生も休んでいるんでしょ!」と言われますが、寝かしつけが終われば、連絡帳を書いたり、おやつや行事の準備をしたり、事務作業があります。「ゆっくり休む」という時間を持てる保育士はほとんどいないかもしれません。
持ち帰り残業・サービス残業が多い
行事のための制作準備や衣装準備など、勤務時間内で終わらないことが多くあり、持ち帰りは当たり前のようになっているのが現状です。また、勤務時間が決まっていても、勤務時間外に全体会議があったり、保護者の仕事の終わりの時間に合わせての保護者面談があることは日常。
「子どもと遊ぶ仕事って楽しそう」と言われてしまうとなんとも言えない気持ちになりますよね・・・。このような働き方が浸透しているのが保育業界のため、改善を諦めてしまい、職を離れる人が多いのですね。給料を取るか、休みを取るかというのは難しい問題ですが、本当にどちらかしか取れないのでしょうか?このような働き方に心も体も参ってしまう保育士さんはたくさんいます。
まとめ
今回は保育士の給料について解説しました。少しずつ紐解いていくと、給料は少しずつ上昇傾向ですが、地方格差が大きいことも分かりましたね。また、『手当』の差も大きな課題です。給料も問題ですが、保育士の『働く環境』についてもまだまだ考えていく必要があります。子どもの人生に関わることができる尊い職業なので、保育士の離職が少しでも減っていくように、働きやすい環境が整えられていくと良いですね。