夏から秋にかけて、保育園で流行しやすい感染症のひとつが「ヘルパンギーナ」です。
毎年この時期になると、「登園はいつからできる?」「家ではどう看病すればいいの?」という声が多く聞かれます。
この記事では、ヘルパンギーナの症状や登園の目安、保育園・家庭での予防対策を詳しく解説します。
※2025年11月現在も保育園で流行しているようで、急遽記事を書きました。実際に患ってしまったご家庭の皆さんに参考にしてもらえたら幸いです。
ヘルパンギーナとは?保育園で流行しやすい理由

夏に多い子どもの感染症「ヘルパンギーナ」ってどんな病気?
ヘルパンギーナは、コクサッキーウイルス(主にA型)による感染症です。
生後6か月〜5歳ごろの子どもがかかりやすく、夏から初秋にかけて流行します。
主な特徴は、
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高熱(38〜40度前後)
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のどの奥にできる小さな水ぶくれや発疹
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強いのどの痛み
などが挙げられます。発熱が2〜3日続き、食欲が落ちることもありますが、多くの場合は自然に回復します。
保育園で流行しやすい季節と年齢層
ヘルパンギーナは飛沫感染・接触感染のどちらでも広がるため、集団生活の場で流行しやすい病気です。
特に2〜4歳児のクラスでは、おもちゃやタオルの共有、近距離での会話などで感染が広がることがあります。
また、ウイルスは発症後1〜2週間、便中にも排出されるため、症状が治ってからも注意が必要です。
ヘルパンギーナの症状と家庭での見分け方

初期症状(発熱・のどの痛み・食欲不振)
最初のサインは「突然の発熱」。
子どもがぐったりして食欲がなくなったり、水分を嫌がる場合は要注意です。
熱のわりに元気があることもありますが、機嫌が悪くなったり、ヨダレが増えたりするのが特徴です。
口の中にできる発疹や水ぶくれの特徴
発熱の翌日あたりに、のどの奥(口蓋弓や扁桃あたり)に2〜5mmほどの水ぶくれが出現します。
この水ぶくれが破れるとのどの痛みが強くなるため、食事や水分が摂りづらくなります。
「アイスやゼリーしか食べられない」というケースも珍しくありません。
手足口病やプール熱との違い
同じ夏風邪の代表である「手足口病」や「咽頭結膜熱(プール熱)」と混同されやすいですが、以下のような違いがあります。
| 病名 | 主な症状 | 発疹の部位 | 発熱の有無 |
|---|---|---|---|
| ヘルパンギーナ | のどの水ぶくれ | のどの奥のみ | 高熱あり |
| 手足口病 | 発疹+口内炎 | 手・足・口まわり | 微熱〜中程度 |
| プール熱 | 発熱+結膜炎 | 目の充血あり | 高熱あり |
のどの痛みが強く、高熱が出る場合はヘルパンギーナの可能性が高いです。
登園の目安は?何日休めばいいの?

登園できるのは「熱が下がり元気が戻ってから」
ヘルパンギーナは、発熱が下がり、食欲や元気が戻っていれば登園可能です。
感染症法で出席停止の義務はありませんが、保育園では他児への感染を防ぐために休養を勧めるケースが多くあります。
回復までの平均的な休み期間(目安:3〜5日)
症状には個人差がありますが、一般的には発熱が2〜3日で落ち着き、発疹ものどの痛みも1週間以内に回復します。
登園までの目安は3〜5日程度の自宅療養が理想的です。
ただし、発熱が続く・食事や水分が取れない場合は無理せず医師の指示を仰ぎましょう。
医師の診断書や登園許可証が必要な場合も
園によっては、感染症が流行している時期に限り「登園許可書(医師記入)」を求めることがあります。
保護者は登園前に園へ連絡し、必要な書類や登園の可否を確認しておくと安心です。
※保育園や自治体ごとにルールがあると思うので、重要事項説明書や入園のしおりなどでご確認ください。
登園前に確認したいチェックポイント
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熱が37.5度以下に下がっている
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食欲・水分摂取が戻っている
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機嫌がよく、活動できる
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咳や鼻水などが落ち着いている
これらの状態を目安に、登園再開を判断しましょう。
保育園での対応と感染拡大を防ぐ工夫

手洗い・うがい・タオル共有を避ける基本対策
保育園での感染予防の基本は、やはり手洗いとうがいです。
特に、排泄介助や食事前後の手洗いを徹底することで、ウイルスの拡散を防げます。
タオルやコップの共用を避け、個人専用のものを使用することも大切です。
玩具や机の消毒、保育士が気をつけたい衛生管理
ウイルスは机やおもちゃなどに付着しても数時間生き残ります。
そのため、共有玩具・テーブル・ドアノブなどを次亜塩素酸ナトリウムなどで定期的に消毒することが効果的です。
また、排泄物を扱う際は手袋を着用し、処理後はしっかりと手洗いを行いましょう。
集団生活で感染を広げないための保育環境づくり
保育室内の換気も感染予防に欠かせません。
窓を1日数回開けることで、ウイルスを外へ逃がします。
また、発熱児は別室で休めるよう環境を整え、感染拡大を防ぎましょう。
※この寒くなってきた時期に窓を開ける換気は寒く感じるかもしれませんが、短時間でも行うと感染症拡大を少しでも回避できますよ。
家庭でできる予防とケアのポイント

家族への感染を防ぐためにできること
ヘルパンギーナは家族間でもうつることがあります。
看病する際は、マスクの着用や手洗いを徹底し、食器・タオルを分けて使用するようにしましょう。
特に乳児がいる家庭では、抱っこの前に必ず手洗いを。
食事・水分補給の工夫
のどの痛みが強いと、食べたり飲んだりするのがつらくなります。
無理に固形食を与えず、以下のようなのどにやさしい食事を選びましょう。
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冷たいスープやポタージュ
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ヨーグルト・ゼリー・プリン
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冷ましたおかゆ
また、脱水予防のためにこまめに水分を摂ることも大切です。
経口補水液や麦茶を少しずつ与えましょう。
再感染を防ぐ生活リズムと免疫を整える過ごし方
ヘルパンギーナは一度かかっても型の違うウイルスで再感染することがあります。
十分な睡眠と栄養バランスを意識し、免疫力を落とさない生活習慣を整えましょう。
また、完治後もしばらくは便からウイルスが出るため、排泄後の手洗いをしっかり続けることがポイントです。
まとめ|保育園と家庭で連携して安心・安全に過ごそう
ヘルパンギーナは、夏の保育園で特に注意が必要な感染症のひとつです。
多くの場合は自然に治りますが、発熱中やのどの痛みが強い間は無理をせず休ませることが回復のカギ。
園では手洗いや消毒、家庭では看病と予防をしっかり行うことで、感染拡大を防ぐことができます。
保育園と家庭が協力し、子どもたちが安心して過ごせる環境を整えていきましょう。