幼児クラスになると、毎月製作遊びをする保育園も少なくないでしょう。手先の力を育てるためにも、様々な技法に挑戦する経験が大切です。
また、家庭より保育園の方が素材も豊富なので、家庭では難しい製作を行うこともできるでしょう。
とはいえ、製作遊びの計画で一番大切なのは、子どもにとって楽しい製作遊びであること。
子どもの成長より難しい製作にしてしまうと、楽しいと感じる前に嫌になってしまう可能性が高くなります。反対に、簡単すぎる製作だとつまらなく感じて、これもまた楽しいと感じられません。
子どもたちの成長に合わせた難度で、製作遊びを設定しましょう。
製作遊びの悩みで、いつも同じような製作になってしまう、というものがあります。技法が同じでも、作るものが変わるとマンネリ化を避けられます。
7月なら、7月らしい夏のモチーフを選んでみましょう。
7月の行事にちなんだモチーフもいいですね。
今回ご紹介する製作遊びも、7月の製作ということで夏らしいものにしてみました。
モチーフや、製作の素材は保育園の様子に合わせて変えて大丈夫です。保育園(家庭でもやってみてください)の子どもたちにとって、しっくりくる製作遊びを計画してみてくださいね。
乳児クラスは室温に気を付けて製作を行おう
保育園の乳児クラスで製作遊びを行う際、注意点がいくつかあります。その中で見過ごされがちなのが『室温』です。
乳児は自分で体温調節ができません。そのため、気温や室温に影響を受けやすく、着衣によって熱が体にこもってしまうこともあります。大人は室温が高いと感じれば、窓を開けたりして自分でなんとかできますが、乳児はそういうわけにはいきません。
乳児では暑ければ服を脱ぐ、ということも難しいのです。
製作遊びに限らず、乳児クラスは室温をこまめに調節しましょう。窓を開けて換気をするのは、感染症予防の観点からも大切です。また、子どもは夢中になると自分の不調に気が付かないことがよくありますよね。特に乳児は自分で不調に気づけません。
大人がしっかり気を付けてあげてください。
厚生労働省から発表されている、保育室環境のめやすでは次の通りになっています。
<乳児クラスの室温>
夏26~28度
冬20~23度
大人と乳児では室温から受ける影響が異なります。大人が平気だから、ではなく、子どもにとってどうであるかと考えて、室温を調整してください。温度計を用いるなどして室温管理をしましょう。
乳児クラスの制作遊びはこちらまで!!
保育園の3歳児の7月おすすめの製作!
保育園の3歳児におすすめ、7月の製作をご紹介します。保育園の3歳児は、乳児クラスから保育園に通っている子と、3歳児になって保育園に通い始めた子とがいると思います。製作遊びに慣れていない子は、簡単な製作から始めるのがおすすめ。
「できた!」「楽しい!」と味わうことで、製作遊びが好きになりますよ。
1.にじみ絵
和紙に水性ペンで絵を描いて、その上から霧吹きで水を吹きかけます。じわじわと色が広がっていく様子が楽しめます。このにじみ絵は、保育園の3歳児なら、乳児クラスの製作遊びでやったことがあるかもしれませんね。
それなら、濡れた画用紙と絵の具で行うにじみ絵はいかがでしょう。
事前にしっかりと濡らしておいた画用紙を使います。その上に、筆を使って絵の具を垂らしたり、線を引いたりしていく手法です。じわじわと絵の具が広がって、隣の色と混ざり合ったり、にじんだり。絵の具を溶く水の量で広がり方やにじみ方が変わるので、楽しみ方の幅も広がります。
画用紙以外でも、コーヒーフィルターや和紙、障子紙でも遊べます。水を使うので、室内で行う時はビニールシートを敷いておくと安心です。
7月なら戸外で行ってもいいと思います。家庭でやるにはちょっと大変なので、保育園だからこそ楽しめる製作になるでしょう。
2.折り紙で笹飾り作り・織姫と彦星
7月といえば七夕ですよね。折り紙を使って笹飾りを作ってみましょう。
保育園の3歳児は、折り紙に慣れている子もいればそうでない子もいます。難しい折り方よりシンプルな折り方にして、シールを貼ったり、絵を描いたりして、オリジナリティを出すのはいかがでしょう?
折り紙を3回折れば、体を作ることができます。丸く切った画用紙に顔を描いて、体と貼り合わせ、星を貼ったり体に和紙を貼ったりすれば、可愛い織姫と彦星の完成!飾り方を工夫すれば、もっと可愛らしくなります。
顔を描くのが難しいなら、顔もシールで作れます。3歳児のできることに合わせて、製作の内容を調整してください。
3.ハサミを使って花火作り
7月らしい夏のモチーフとして、花火を取り入れた製作遊びです。保育園の3歳児では、まだハサミに慣れていない子も多いと思うので、1回切りが安心です。
黒い画用紙を丸く切って土台にします。これは3歳児が切るのは難しいと思うので、先生があらかじめ切って準備しておきましょう。子どもたちは好きな色の折り紙を切って、のりで土台に貼っていきます。事前に花火の写真や絵を見たり、見本を見せたりしておくと、貼り方をイメージしやすくなるはずです。
折り紙をそのまま1枚渡すより、1/3か1/4くらいの大きさで。1回切りでも切り落とせるサイズがちょうどいいです。花火には何色か使いたい子もいると思うので、小さめの折り紙を、何色も用意しておくといいですね。
保育園の壁に貼ると、ぱっと明るく、にぎやかになるでしょう。
保育園の4歳児の7月おすすめの製作!
保育園の4歳児におすすめ、7月の製作をご紹介します。保育園の4歳児は製作でできることが増えるので、いろいろな技法に挑戦してみるといいと思います。4歳児が特に楽しんでいる技法があれば、何回か続けて製作遊びに取り入れてもいいですね。
1.はじき絵を使ったお絵かき
クレヨンで絵を描いて、その上から絵の具を塗ると、クレヨンが絵の具をはじく。これがはじき絵です。絵の具で色を塗り分けるのは、保育園の4歳児にはまだ難しいかもしれません。絵の具に触れる活動の一つとして、はじき絵を取り入れていてはいかがでしょう。
はじき絵に使う絵の具は、水分を多めにする方が向いています。夏らしいモチーフを選ぶと、7月らしい製作になりますよ。
2.折り紙で笹飾り作り・輪飾り
7月といえば七夕!製作遊びで、笹飾りを作る保育園も多いと思います。保育園の4歳児は大分集中力がついてきているので、折り紙で輪飾りを作ってみるのはいかがでしょう?細長く切った折り紙の端と端を貼り付けて、輪を作り、それを鎖のように繋げていくのが輪飾り。
実は輪を作るのが結構難しいんですね。
コツを掴むまでは大変かもしれませんが、慣れれば長く繋げるのが楽しくなるんです。お友だちと競い合って、どっちが長く繋げられるか?なんて張り切る姿も見られます。1回の製作遊びで作るのが難しければ、数回に分けて製作遊びを計画してもいいと思います。
輪飾りは笹飾り以外にも、保育園の装飾として使うことができます。製作遊びで作り方を覚えたら、他の場面で活用してみてもいいですね。
3.紙コップの花火
保育園の4歳児なら手の力もついてくるので、少し厚めの素材もハサミで切れるようになってきます。紙コップは縁が固いものが多いので、3歳児には難しい素材。4歳児なら、自分の力だけで紙コップを切れる子が増えるでしょう。
まだ握力が弱い子は、先生がサポートしてあげてくださいね。
紙コップの外側に、ちぎった折り紙を貼っていきます。のりが乾いたら、紙コップに縦に数回切り込みを入れて開いてみましょう。ぱっと開いて花火のような形になります。保育園の壁に飾るなら、黒い画用紙を台紙にすると花火らしい雰囲気になりますよ。
花火に限らず、花に見立てることもできます。保育園の4歳児なら、見立てもできるようになっていると思うので、何を作るのか子どもたちと相談してみるのもいいですね。製作遊びに子どもたちの意見を取り入れると、大人にはない発想が出てきておもしろいです。
保育園の5歳児の7月おすすめの製作!
保育園の5歳児におすすめ、7月の製作をご紹介します。保育園の5歳児は、これまでの保育園経験からいろいろな製作をしてきたと思います。新しい技法を探すのもいいですが、これまでやってきた技法を組み合わせるのも良いですよ。
目先が変わって、楽しく取り組めるはずです。
1.スクラッチ技法を使った花火
スクラッチ技法は削り絵とも呼ばれます。画用紙を好きな色のクレヨンで塗り、その上を黒のクレヨンで塗りつぶします。真っ黒になった画用紙に、削った割り箸など先端が尖ったもので絵を描いていく技法です。黒地に色とりどりの絵が描けるので、花火にぴったりの技法ですね。
画用紙を塗りつぶす必要があるので、根気が必要な製作遊びです。そのため、保育園だと5歳児くらいにならないと難しい技法でもあります。5歳児でも集中力に差がありますので、画用紙の大きさで調整してください。
画用紙以外でも、うちわで作るとさらに夏らしさが出ます。7月の製作らしくなるのでおすすめです!
2.シャボン玉アート
シャボン玉液と絵の具を混ぜることで、製作遊びに応用することができるんです。幅広い年齢で遊べますが、製作遊びとなると、保育園の5歳児くらいからでしょう。乳児クラスで行う場合は、誤ってシャボン玉液を飲んでしまわないように注意してくださいね。
シャボン玉液と絵の具は、3:1くらいの割合で。それを画用紙に向かって吹くと、画用紙の上でシャボン玉が弾け、絵の具が画用紙に残ります。保育園の5歳児なら、画用紙に狙って吹くことも可能なはず。もちろん、シャボン玉遊びも楽しむ活動でもいいですね!
戸外で汚れてもいい服で行えば、ダイナミックに遊ぶことができるでしょう。家庭では難しい、保育園ならではの製作遊びになるでしょう。出来上がったシャボン玉アートは、乾かして別の製作に活かすこともできます。
5歳児なら、「これ、何に見える?」と見立て遊びをしても楽しいですよ。
3.折り紙で笹飾り作り・切紙
7月の製作といえば、笹飾りを作る保育園が多いと思います。5歳児ですから、3歳児、4歳児より少し難易度を上げた製作にしてもいいですね。折り紙を何回か折って、ハサミで切り込みを入れる。折り紙を開くと花のような形になったり、星のような形になったりと、変化が楽しい切紙。
保育園の5歳児なら、切紙ができるくらい手先が使えるようになるでしょう。画用紙は固くて切りにくいので、製作での切紙には折り紙がおすすめ。画用紙を台紙として使うと、強度が上がるので笹飾りにしても大丈夫です。
5歳児なら、字を書ける子は自分で短冊を書いてもいいかもしれませんね。
まとめ
7月の製作ということで、七夕や夏らしい雰囲気の製作をご紹介しました。年齢別にご紹介してきましたが、年齢はあくまで目安の一つ。子どもたちの成長に合わせることが一番大切なので、ご紹介した年齢にこだわる必要はありません。あまり製作遊びをしてこなかった4歳児なら、3歳児の内容がちょうどいいかもしれません。たくさん製作遊びをしてきているなら、4歳児でも5歳児の内容がちょうどいいこともあります。
子どもたちにちょうどいい難易度で計画してください。