保育園や家庭で人気の“感触あそび”のひとつが「片栗粉遊び」。
手で触るとサラサラなのに、握ると固まり、放すとトロッと溶ける——この不思議な感触に子どもたちは夢中になります。
身近な材料で簡単にでき、1歳児から年長児まで幅広く楽しめる片栗粉遊びは、五感を刺激しながら豊かな表現力を育む保育活動です。
今回は、片栗粉遊びのねらい・準備・年齢別の遊び方・注意点を、現場の保育士目線で詳しく紹介します。
☆ちなみに私も働いていた時、片栗粉遊び好きでした!(笑)
片栗粉遊びとは?感触あそびの定番で人気の理由

不思議な感触が子どもを夢中にさせる
片栗粉遊びの最大の魅力は、「固まるのにすぐ溶ける」という不思議な性質。
手でギュッと握ると一瞬固まるのに、手を離すとトロトロと流れていきます。
これは“ダイラタンシー現象”と呼ばれる科学的な仕組みで、水と片栗粉を混ぜたときの粘度変化を体感できます。
子どもたちはこの感触に強く興味を持ち、「どうして?」「もう一回やってみよう!」と自然に探究心を育みます。
理科的な要素を遊びの中で体験できるのも、片栗粉遊びが長く愛されている理由です。
年齢を問わず楽しめる感触あそび
片栗粉遊びは、1歳児から年長児まで幅広い年齢に対応できる万能な活動。
まだ口に物を入れてしまう1歳児でも、片栗粉なら誤飲のリスクが低く安心です。
年齢が上がるにつれて、色を混ぜたり、型を使ったりと遊びの幅も広がります。
「手で感じる」「目で見る」「言葉で伝える」という五感をバランスよく刺激しながら、子どもの心と体の発達を支える遊びです。
☆実は子どもだけでなく、大人も片栗粉の感触が面白くて夢中になってしまうので、親子で遊ぶのにもぴったりですよ。
片栗粉遊びのねらい|保育で大切にしたい育ち

感触を通して「五感」を豊かに育む
子どもたちは、“冷たい”“やわらかい”“とける”といった感覚を手からダイレクトに感じます。
片栗粉遊びでは、この「感触」を存分に味わうことができ、五感を使った体験的な学びが生まれます。
感触に敏感な時期に、安全で優しい素材を通してさまざまな感覚を経験することで、子どもは少しずつ「これは気持ちいい」「ちょっと冷たいね」と言葉で表現できるようになります。
集中力や表現力を育てる
片栗粉を触りながら「トロトロだね」「ギュッとすると固くなるね」と保育者が言葉を添えることで、子どもたちの語彙力や表現力も広がります。
また、手先を使った細やかな動作が自然と増えるため、巧緻性(こうちせい)の発達にも効果的。
何度も繰り返すうちに、「もっとやりたい!」という集中力や粘り強さも育っていきます。
片栗粉遊びの準備と基本の遊び方

準備するもの
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片栗粉 …… 1カップ
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水 …… 約1/2カップ(少しずつ加えて調整)
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トレーやボウル
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スプーン・カップ・おたまなど
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食紅(お好みで)
※床が汚れるのが気になる場合は、新聞紙やレジャーシートを敷いておくと安心です。
遊び方の基本ステップ
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トレーに片栗粉を入れる
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水を少しずつ加えながら混ぜる(ドロドロになりすぎないように)
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手で触って「固まる」「とける」変化を楽しむ
ポイント:
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食紅を加えるとカラフルで視覚的にも楽しめます
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手のひら全体で感触を味わうように誘うと、より満足感がアップ
年齢別の片栗粉遊びアイデア
1〜2歳児向け|手で触って感触を楽しむ

まだ道具を上手に使えない年齢なので、手で触るだけで十分楽しい時期です。
無理に触らせず、保育士が「冷たいね」「やわらかいね」と声をかけながら、安心できる雰囲気を作りましょう。
・水の量を多めにして、やわらかめに作る
・容器ごと手で揺らしてトロトロ感を楽しむ
この年齢では、感触への興味が芽生える「きっかけ作り」が大切です。
3〜4歳児向け|色や形の変化を楽しむ

手先が器用になり始める3〜4歳児には、色をつけたり、道具を使って遊びを広げましょう。
・食紅を混ぜて色の変化を観察
・スプーンやカップを使って“ごっこ遊び”へ発展
・「混ぜたらどうなる?」といった実験的要素を取り入れる
「まぜまぜ」「どんな色になるかな?」という言葉を交わしながら、科学的な興味や観察力を育てることができます。
5歳児向け|“実験あそび”として発展

年長児では、片栗粉遊びを“探求活動”として取り入れるのもおすすめです。
「水を増やしたらどうなる?」「固くするにはどうすればいい?」といった問いかけを投げかけると、自ら考えて試す姿が見られます。
小学校への接続を意識した学びとしても効果的で、遊びながら科学的思考力を育てることができます。
☆子ども達が「やってみたい!」と思う気持ちを大切にして、のびのびとさせてあげる事も大切ですね!
片栗粉遊びを安全に楽しむための注意点

衛生面・アレルギーへの配慮
片栗粉は自然由来の素材なので、小麦アレルギーのある子どもでも安心して楽しめます。
ただし、遊び終わった後は必ず手を洗い、衛生管理を徹底しましょう。
また、片栗粉は放置するとカビや臭いの原因になるため、使い終わったらすぐ処分することが大切です。
再利用は避け、毎回新しいものを使うようにしましょう。
片付けの工夫
片栗粉は水道に流すと詰まりの原因になります。
新聞紙やキッチンペーパーに包んで可燃ごみに出すのがベストです。
床にこぼれたときは、乾かしてから拭き取ると簡単に取れます。
衣服についた場合も、乾燥後に払ってから洗うとスムーズです。
☆片栗粉は乾くと白い粉状になるので、拭き取ったと思っても実は残っている…なんて事もあるので、遊んで時間が経ってから見つかることもあります。その際は放置せず速やかに拭き取りましょうね。
家庭でもできる!片栗粉遊びのアレンジ

氷片栗粉あそび(夏におすすめ)
夏場におすすめなのが「氷片栗粉あそび」。
片栗粉に少量の水を加えたものを冷蔵庫で冷やしておくと、ひんやりとした触感になります。
冷たい感触は子どもに大人気で、暑い季節の室内遊びにもぴったりです。
氷と片栗粉を混ぜることで、「冷たい!」「とけてきた!」などの発見が生まれます。
片栗粉スライム風あそび
少し大きいクラスでは、片栗粉に洗濯のりを少量混ぜて“スライム風”にするのもおすすめ。
本物のスライムよりも安全で、子どもが自由に形を変えて遊べます。
理科的な実験あそびとして、年長児の自由研究にも活用できます。
まとめ|片栗粉遊びは“手と心で学ぶ”体験あそび
片栗粉遊びは、ただの感触あそびではありません。
子どもの五感・集中力・観察力・表現力を育む、奥深い学びのある遊びです。
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手で感じて学ぶ「感触教育」
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言葉で伝える「コミュニケーション力」
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実験的に考える「探求心」
保育園でも家庭でも簡単に取り入れられる片栗粉遊び。
身近な素材で、子どもの“発見する喜び”を引き出してみませんか?