近年耳にすることが増えた『産後うつ』という言葉。子育ては、生まれてからが本当のスタートだと言われています。最近は、『産後うつ』をテーマにしたテレビドラマが放映されるなど、関心が集まってきていますよね。「出産をして疲れているからでしょ?」「生理前のように一定期間情緒が不安定になるだけでしょ?」と、軽んじてはいけません。
産後うつは、一人で乗り越えられるものではありませんし、適切な治療が必要なものです。無自覚の場合もありますし、誰にでも起こり得るものです。今回は、産後うつについて詳しく解説していきます。
まずは、産後うつの症状チェック!
最初に、『産後うつ』とは、どのような症状なのかをチェックしていきましょう。
チェックするのに10個の簡単な質問に答える『エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)』というものがあります。
質問は以下の10個で、自分の思いに一番近いものをを4択の中から選択するものになっています。0~3点の点数式で、日本では、合計点が9点以上を産後うつの兆しがあるとされています。
①笑うことができたし、物事の面白い面もわかった。
1.いつもと同様にできた。
2.あまりできなかった。
3.明らかにできなかった。
4.全くできなかった。
②物事を楽しみにして待った。
1.いつもと同様にできた。
2.あまりできなかった。
3.明らかにできなかった。
4.全くできなかった。
③物事がうまくいかなった時、自分を不必要に責めた。
1.はい、たいていそうだった。
2.はい、時々そうだった。
3.いいえ、あまり度々ではなかった。
4.いいえ、全くそうではなかった。
④はっきりとした理由もないのに不安になったり、心配したりした。
1.いいえ、そうではなかった。
2.ほとんどそうではなかった。
3.はい、時々あった。
4.はい、しょっちゅうあった。
⑤はっきりとした理由もないのに恐怖に襲われた。
1.いいえ、そうではなかった。
2.ほとんどそうではなかった。
3.はい、時々あった。
4.はい、しょっちゅうあった。
⑥することがたくさんあって大変だった。
1.はい、たいてい対処できなかった。
2.はい、いつものようにうまく対処できなかった。
3.いいえ、たいていうまく対処した。
4.いいえ、普段通りに対処した。
⑦不幸せな気分なので、眠りにくかった。
1.はい、ほとんどいつもそうだった。
2.はい、時々そうだった。
3.いいえ、あまり度々ではなかった。
4.いいえ、全くそうではなかった。
⑧悲しくなったり、惨めになったりした。
1.はい、たいていそうだった。
2.はい、かなりしばしばそうだった。
3.いいえ、あまり度々ではなかった。
4.いいえ、全くそうではなかった。
⑨不幸せな気分だったので、泣いていた。
1.はい、たいていそうだった。
2.はい、かなりしばしばそうだった。
3.ほんの時々あった。
4.いいえ、全くそうではなかった。
⑩自分自身を傷つけるという考えが浮かんできた。
1.はい、かなりしばしばそうだった。
2.時々そうだった。
3.めったになかった。
4.全くなかった。
産後うつとは?
ここまで産後うつの症状をチェック項目等で紹介してきましたが、そもそも、産後うつとはどのようなものだと思いますか?「一時的なもので、子どもが大きくなれば自然と治っていくと思っている方はいませんか?実は、そんな簡単なものではありません。
今でこそ、『産後うつ』という言葉は少しずつ浸透してきていますが、まだまだ「育児疲れ」や「母親の甘え」だという言葉で片付けられ、理解されないことがあるのが現状です。自分で子どもを産むと決めたのだから育てるのが当たり前と、周囲の目を気にして、お母さんが悩みや辛さを溜め込んでしまう場合もあるのです。
一般的には、産後うつは赤ちゃんが産まれて3ヶ月以内に発症することが多いと言われていますが、中には1年後に発症したケースもあります。 産後うつになる原因が様々なため、発症する時期も人によって違ってきます。 発症している期間も人によって様々で、2週間以上続くケースが多いようです。
産後うつの症状とは??
・気持ちの落ち込み
・育児が楽しくない
・食欲がない
・授乳以外でも夜に目が覚めてしまう
・からだの疲れがとれない
・自分のことを責めてしまうというものです。
また、生きていく希望を感じられなくなり死にたい気持ちになってしまう…と追い詰められてしまうこともあります。なんと、出産した女性のうち10人に1人はこのような症状が出ると言われています。
産後うつになりやすい人の特徴
誰でもなり得る産後うつですが、特にどのような人がなりやすいのでしょうか?箇条書きでまとめましたので自分にも心当たりがないか確かめてみてくださいね。
- 人に頼ったり、甘えたりするのが苦手
- 完璧主義で手を抜けない
- 結果が出るまで頑張りすぎてしまう
- 子どもの誕生で常に気が張っている
- 一人で家事と育児全般を担っている
- 今後の生活などの不安がある
- 実家などに、育児の補助が受けられない
- 計画外の妊娠で赤ちゃんとの生活に慣れない
- 赤ちゃんと二人きりの時間が長く、家の中で一日を過ごす
産後うつはいつまで続くの?
先述しましたが、産後うつは一般的には約2週間以上続くケースが多いようです。『いつ終わるか』という明確なものはありません。睡眠不足が症状を悪化させると言われていますので、症状を軽快させるには熟睡できる環境が必要ですが、赤ちゃんがいるとなかなか難しいですよね。一人で抱え込んでしまうと症状はどんどん悪化していくこともあります。
「眠いのに眠れない」という場合は、薬による治療も一つの手段ですので、躊躇せずに通院しましょう。
産後うつの対策はこちら!
ここまで産後うつについて解説してきましたが、それでは、産後うつに対してどのように対策すると良いのでしょうか?まずは前提として、『一人で抱え込まない』ということが大切なことです。最後に対策をいくつかご紹介します。
家族に協力をお願いする
育児において家族の協力は不可欠です!「旦那は働いているから頼みづらい」という方や、「実家の距離が離れているからお願いできない」という方もいらっしゃるかと思います。
旦那さんには、『一人でお風呂に入る時間が欲しいからその間だけでも見ていてもらう』など、頼みやすいところからお願いしてみましょう。
お母さんだけの子どもではありません。旦那さんも、『お父さん』です。遠慮せずに協力体制を取りましょう。実家が離れている方は、ビデオ通話をしたり、話を聞いてもらうだけでも、精神的に変わると思いますよ。『自分は一人ではないんだ』と思える環境が育児においてはとても大切なことなのです。時には友人とも子育てとは別の他愛のない話をするだけでも気持ちが軽くなるのではないでしょうか。
家事と育児の負担を軽くするようにする
出産前は、お弁当を作り、夕飯もおかずを何品か作って、洗濯や掃除をして・・・というサイクルがあった方も、そこに『育児』が加えられると今まで余裕を持って出来ていたことが出来なくなります。赤ちゃんは、規則正しく泣くわけではありませんし、毎日違う表情を見せてくるので思い通りにはいきません。育児が大変だった日は、出前を取っても良いのです。また、今は便利な家電もたくさん出ています。
ロボット掃除機にお願いしても、コインランドリーで洗濯をしても良いのです。大切なのは『心の休憩時間を作ること』です。決して手を抜いているのではありません。人に甘えるのが苦手だったり、甘える人がいないという場合は、食べ物や家電に甘えてみましょう。『負担を軽くする方法』は人それぞれです。自分にとって気軽に甘えられる方法を見つけてくださいね。
まとめ
今回は『産後うつ』について解説していきました。誰でもなり得る症状です。いつもより気持ちが落ち込む・・・なんだか泣けてくる・・・といった場合は心のSOSのサインです。決して一人で抱え込まずに人やモノに頼ってくださいね。